年初めの乗り鉄に代えて~鉄道博物館に行ってみました [鉄道・鉄道旅行]
昨年年初め・夏休みと立て続けに長期の乗り鉄旅行を敢行したので今年の年初めは乗り鉄旅行の企画は立てずに代わりに大宮の鉄道博物館に行ってみました。
(実はまだ一度も行ったことが無かったので)
場所は大宮と書きましたが、最寄り駅は埼玉新都市交通(ニューシャトル)の鉄道博物館駅になります。
大宮から1駅先で元々は大成(おおなり)という駅名でしたが、鉄道博物館の開業に伴い鉄道博物館駅に改められました。
博物館の入り口前には修学旅行車として活躍した167系(クハ167-1)の先頭部分(通称:生首)が展示されていました。
同じく後ろから。
僅かながら座席も残されています。
反対側にはSLの代名詞ともいえるD51型(デゴイチ)の生首も展示。
これらは記念撮影用として展示されており博物館の外なので入場料なしで見学できます。
ということでここからは博物館内の展示物を順次紹介。
(入場料:大人1.300円)
入館してまず目に入ったのがシンカリオンの巨大模型(?)でしたがそれには目もくれずにいきなり台車から紹介。
DT46型という空気ばね式の台車で、201系通勤型電車で使われていたものです。
201系は首都圏では撤退しましたが、関西地区ではまだ現役だったりします。
目の前には柵があるもののかなり接近できるので、モーター(主電動機)も間近で見れます。
「MT60形主電動機」と記載あり。
隣に展示されていたのは旧型客車の台車ですが、いかにも重厚な造り。
TR73形3軸台車といい、重い車体を支えるため1台車につき車輪が3組あります。
近年誕生したクルージングトレイン用の車両(ななつ星・トランスイート四季島等)も相当な重量がありますが、さすがに3軸台車を採用するまでは至っていません。
ここからはメインの展示エリアとなる車両ステーションへ。
まずは戦前旧型客車の最高級車であるマイテ39形。
車内は(現在の)クルージングトレインに匹敵する豪華さ!
戦前にこれだけの豪華車両があったのには驚きです。
隣には鉄道創業期の車両が展示されていますが、これは人力車?
人が手で押して動かしていたようです。
こちらは鉄道創業期のSL(蒸気機関車)と客車。
(上:善光号 下:1号機関車と創業期の客車)
実車にプロジェクションマッピングを加えた演出も見られました。
開拓使号(客車:写真上)や"弁慶号(機関車:写真下)といった、子供の頃鉄道系の図鑑で見た車両も実物で展示されています。
こちらは9850形という大型のSL。
何と2組の走り装置を持っています。
この特殊は造りは「マレー式蒸気機関車」とのこと。
2組の走り装置とすることで、多くの動輪があるにもかかわらずカーブの通過がしやすいのが利点。
この機関車は戦前の御殿場線(当時は東海道本線だった)の山岳区間で使用されたもので、この線区は急勾配かつカーブの多い区間ということでパワーがありながら曲線もスムーズに走行できるマレー式の機関車が採用されたとのことです。
但し構造が複雑で整備・保守が困難という短所があったためかか活動期間は短く、1924年に廃車されました。
※参考:マレー式機関車(Wikipedia)
参考記事その2:蒸気機関車の先輪・動輪・従輪の配置と呼称。
下の方にマレー式の記載がありますが、9850形を含め日本で運用されたマレー式機関車は全て海外からの輸入で国産車は無し。
初の国産電機機関車となるED40形。
信越本線の横川 - 軽井沢間(碓氷峠)用の電気機関車で、アプト式対応の車両。
ED40形を後部から。
ご覧のように後部には運転台はなく、前後非対称のデザイン。
またアプト区間では架線ではなく線路横の第三軌条から集電するため、台車の脇に集電靴が設けられているのも確認できます(手前のオレンジの部分)。
昭和初期に中央本線などで活躍したED17形電機機関車。
戦後の旅客用電機機関車として活躍したEF58形。
「ゴハチ」の愛称でお召し列車やイベント用客車列車も牽引した栄光ある形式です。
「ナデ6110」という電車ですが、通勤電車の始祖的な車両?
パンタグラフが初期の路面電車と同じポール式です。
こちらはEF55形。
戦前の一時期に流行した「流線形」の車両で、曲面の全面が特徴的。
EF55形の背面。
背面にも運転台はありますがあくまでも簡易的なものなので運転方向を変える場合SLと同様に転車台を使わないといけないという欠点があり、それ故現役期間は短かったようです。
車両ステーションのちょうど中央にある転車台に乗っているがC57形135号機。
この転車台が1回転するイベントが1日に2回ほど行われますが、その様子はまた後程に。
C57形を正面から。
C57形は「貴婦人」の愛称で親しまれるスタイルの良いSLで、SLやまぐち号など現役で活躍している車両もあります。
こちらはオハ31形という戦前の普通客車。
屋根が2重構造になっていて、"普通車なながらも豪華な造りです。
戦前型国電の代表格であるクモハ40形。
戦後になっても比較的長く活躍した電車です。
クモハ40形の車内。
床や壁はまだ木製ですが、青色のシートなど後の国電を彷彿させます。
初期の気動車(ディーゼルカー)であるキハ41300形。
最初はガソリンエンジンでしたが幾つかの欠点があったため、ディーゼルエンジンに換装して長らく運用されたようです。
キハ41300形の車内。
窓の外に風景が流れる映像が映し出され、まるで列車に乗って旅をしているような演出がされていました。
キハ41300形の運転台ですが何ともレトロな感じです。
一気に近代の車両に移りましたが、こちらは貨物用電機機関車のEF66形。
現在も貨物列車牽引用として活躍していますが、スタイルの良さから末期のブルートレイン牽引用としても運用されました。
実車の前にはEF66形の動力部分(車輪とモーター)も展示。
国鉄時代の電機機関車としては最強の出力(1時間定格出力3.900kw)を誇ります。
EF66形の後ろにはコンテナ車(コキ50000形)冷凍車(レムフ10000形)が展示。
いずれも時速100kmの高速運転に対応した貨車です。
冷凍車はさすがに現在では見られません(冷凍コンテナに移行)が、コンテナ車は現在も鉄道輸送の主役として活躍しています。
国鉄時代にも色々な種類のコンテナがあったのですね。
通風コンテナやタンク型コンテナは最近では使われていませんが…。
現在ではコンテナ車の「コ」・タンク車の「タ」・ホッパー車の「ホ」ぐらいしか見られませんが、昔は様々な種類の貨車がありました。
有蓋車の「ワ」や無蓋車の「ト」・冷凍車の「レ」あたりは知っていますが、鮮魚車(ナマザカナの「ナ」)や陶器車(陶器=ポットリーの「ポ」)まではさすがに知りませんでした。
冷凍車レムフ10000形の車掌室内部ですが、ストーブはともかく灰皿も必須だったようです。
0系新幹線の先頭部分。
運転席内の見学が可能だったので、しばし並んで見ることにします。
開業当初は列車種別の表示も手書きのプレートでしたが、列車種別は「超特急」。
現在では特に超特急の呼称は使われていませんが、英訳の「SUPER EXPRESS」は電光掲示板の字幕では出てきます。
開業当初の時刻表(東京~新大阪間)も展示。
30分間隔で毎時0分にひかり、30分にこだまが発車するというもの凄くシンプルというか余裕のあるダイヤ。
ラッシュ時には3分間隔で発車するという現在の超過密ダイヤからすると隔世の感があります。
ちなみに下の注意書きを読むと「ひかり」が超特急で「こだま」は特急扱いだったのですね。
10分ほど待ってようやく見れた0系の運転台。
現在の新幹線車両の運転台よりもシンプルな造りかと。
ちなみに新幹線車両は左側がブレーキ・右側が加速(マスコン)と在来線車両と逆の配置なのが特徴です。
隣に展示されているのは東北・上越新幹線用の200系車両の先頭車。
200系は1両まるごとの展示なので車内も見学可能。
(運転室は見学不可)
東北・上越新幹線は最近乗る機会が多いですが、初代の200系車両には現役時代には乗ることはありませんでした。
200系車両の前には台車も展示。
新幹線車両の台車は滅多にお目にかかれないので、これはこれで貴重かと。
東北本線で活躍した栄光の車両たち。
写真上が急行形の455系(クモハ455形)、写真下が特急型の485系(クハ481形)。
いずれもかつての上野駅で数多く見られた車両で、クハ481形は上野~仙台間で運行された特急「ひばり」のヘッドマークを掲げています。
残念ながらこの2車両は最近車内部品の盗難があったらしく、当面の間車内見学を禁止する措置が取られていました。
こちらは上越線の特急「とき」で活躍した181系(クハ181形)。
元はこだま型と呼ばれた151系を改造して181系とし、晩年は上越線の特急「とき」・中央本線の特急「あずさ」などで活躍しました。
クハ181形の車内、こちらは車内見学可能でした。
デッキ付近にあった車販のモデルさんが引いているラックの中を覗いてみると、懐かしい品物が。
弁当やキャラメルなどの菓子類は現在の車販でも見られるものの、プラスチック容器に入ったお茶など当時ならではのものも再現されていました。
(当時は缶やペットボトル入りのお茶は無かった)
一瞬飛びますが、こちらも東北本線系統で活躍したED75形電機機関車。
国鉄時代の交流電機機関車の決定版といえる車両で、客車・貨車を問わず交流区間の多い東北地方で活躍しました。
かなり数を減らしたものの、現在も主に貨物列車用として運用されています。
特急あさかぜなどの九州方面行寝台特急(ブルートレイン)として活躍した"20系寝台客車のナハネフ22形。
登場時はそのハイグレードさから「走るホテル」と形容された名車です。
ナハネフ22形の出入り口。
この車両は寝台特急「あさかぜ」の最後部車両とおもわれますが、14号車とは…当時の人気ぶり(列車需要の高さ)が伺えます。
車内見学も可能で、当時の様子がモデル人形などを使って再現されていました。
これは乗務員が寝台をセットしているところでしょうか?
乗客が就寝中の様子も再現。
当時は走るホテルといっても、ベッドはさすがに狭そう…。
その後日本人の体形が大きくなるにつれてベッドの幅を広くし、寝台も3段から2段と余裕を持たせるように改善された新しい車両が登場しました。
もちろん当時は車内喫煙OKだったので"灰皿もありますが、さすがに寝台使用中は禁煙だったようです。
寝たばこ禁止といったところか…。
国電、というか新性能電車のパイオニアである101系電車(クモハ101形)。
首都圏では最終的に中央快速線で運用されていたことから、オレンジ色の車両で行先も高尾行きになっています。
クモハ101形の車内。
これぞまさしく国電の車内といった感じ。
クモハ101形の運転台。かなり使い込まれた感じです。
お召し仕様のC51形蒸気機関車。
この後ろに展示されているのが各時代の御料車(皇族専用車両)であることからお召し仕様となっているようです。
一部「離れ」となっている建物は新幹線専用の展示スペースとなっており、0系の先頭車がまるごと1両展示されていました。
壁の展示パネルには新幹線開業までの歴史について解説されています。
由緒正しき0系新幹線の車内。
これは子供の頃乗ったことがあるのではっきりと覚えています。
本館と南館の間には車内で飲食できる「ランチトレイン」として提供されている183系車両が。
それぞれ房総特急の「しおさい」と中央本線の特急「あずさ」のヘッドマークが掲げられています。
ちょうど昼時だったので、駅弁を買って車内で昼食を取るとします。
こうして弁当を置いて座席に座ると、不思議と旅をしている気分になります。
車両はもちろん動きませんが、奥に見える線路は実際の営業路線なので走行中の車両を遠めに見ることができます。
ちなみに手前の新幹線車両は初代Max(オール2階建て新幹線)のE1系。
ランチトレインとして提供されている車両は他にもあり、こちらは急行形の455系車両を利用した「455ランチトレイン」。
北側のキッズプラザに近い位置にあることからボックスシートやロングシートにテーブルを設けた、家族向けの仕様となっています。
これらランチトレインの他にも食堂車風のレストランや新幹線を眺めながら食事ができるラウンジなど、昼食を取るバリエーションは実に豊富だったりします。
昼食の後はオープンして間もない南館へ。
展示車両も現役のE5系の先頭車。
その奥には山形新幹線の初代車両である400系の先頭車が展示されています。
E5系の先頭車は事実上の一等車と言える「グランクラス」。
座席は航空機のファーストクラスに匹敵する豪華革張り。
新幹線の幅広の車体に3列のシートなので、シートピッチも実に余裕があります。
400系先頭車もグリーン車なので、グランクラス程でなくてもゆったりな感じです。
南館は鉄道運転に関わる仕事が学べるコーナーが中心ということで、運転シミュレーターも豊富です。
1階にある209系の運転台を利用したシミュレーターでは車掌業務など実際の鉄道運行に即した業務を体験できます。
予約制ですが当日分の予約は既に埋まっていました。
外の公園にあるすべり台も新幹線仕様。
北陸新幹線を走るE7系を模しています。
公園を1周するように線路がありますが、実は子供用の乗り物であるミニはやぶさ号が走る線路だったりします。
ただしミニはやぶさ号は冬季期間は運休しているとのことで、当日は走っていませんでした。
南館の2階に上がると1階にある新幹線車両が一望できます。
2階にはE5系新幹線などの運転シミュレーターがありますが、E5系新幹線については当日分の予約受付終了。
その他205系や211系のシミュレーターもありましたが、30分待ちだったので当日は止めました。
(いずれも別途有料)
本館渡り廊下側の窓からは先ほど昼食時に見たE1系の先頭車も一望できました。
南館3階は鉄道の歴史コーナー。
明治時代の鉄道創業期から現代までの日本鉄道史に関わる資料が公開されています。
上の写真はC53形蒸気機関車の動力部分模型。
C53形は車体中央に3個目のシリンダーを持つ3シリンダという複雑な構造を持っています。
参考:C53形の実車
梅小路蒸気機関車館(現:京都鉄道博物館)に展示
各コーナー(時代)に合わせた改札の再現模型も展示されていました。
写真上が昭和初期、写真下が1960年代の改札。
最上階の4階には屋上庭園があり、ご覧の通り新幹線が走る様子を眺めることができます。
同じく4階には新幹線を眺めながら食事ができるレストランもあります。
2階の渡り廊下を通り再び本館へ。
車両群を2階から眺めます。
転車台に乗ったC57形の全景も。
この後転車台が1回転するイベントが始まります。
再生できない場合、ダウンロードは🎥こちら
転車台回転イベントの動画。
※無音で速度を2倍にして再生しています
イベント後は鉄道ジオラマコーナーへ。
ちょうど定期のこれからデモンストレーションが始まるところでした。
(所要時間10分程度)
デモ後に巨大ジオラマの様子を見学。
新幹線の高架橋下にはシンカリオンの姿も見えました。
こうして見るとジオラマは実に巨大。
何本線路があるんだ?
奥に見える新幹線の駅は上毛高原駅(上越新幹線)がモデルか?
手前のコンクリート製の橋は北陸新幹線の神通川橋梁を模したものかもしれません。
よく見ると烏山線の烏山駅も見事に再現。
駅に止まっている車両も実際のEV-E300系(ACCUM)で、架線から充電している様子も再現されています。
ジオラマ室の隣には謎のコレクションコーナーも。
期間限定のヘッドマークなどお宝感満載ですが、中には「E電」の珍ヘッドマークも。
ちなみにE電とはJR発足時に国電に代る愛称として設定したももの全く定着せずにすぐ死語と化したものです。
本館の屋上も展望スペースとなっており、新幹線を眺められます。
興味深いのは新幹線通過予定時刻表なるものがあり、何時何分にこの形式の列車が通過するのが一目瞭然に分かるというもの。
確かに時刻表の予定通りに列車が通過していきました。
好きな人だとずっと見ていても飽きないかもしれませんね。
本館の1階北側は子供向けのキッズプラザとなっており、遊び場になっている他カラフルな塗装の103系電車の一部も展示。
軽食コーナーもあるので軽い食事もできます。
キッズプラザの北側広場はミニ運転列車コーナー。
実在車両を縮小したミニ列車がゆっくりと走っています。
車両は最新の最新のE235系(山手線)から
実車も展示されているEF55形も、これはかわいい。
運転台が片側にしかないためか、ちゃんと転車台もあります。
このミニ運転列車コーナーの凄いところですが、実際の鉄道と同様の信号システムが採用されていること。
線路の各所に信号が設けられおりますが、これは飾りではなく先に車両が接近していると先に進めないようにする、いわゆる閉塞システムが取られています。
この辺りはさすがに鉄道博物館ならではといったところ。
ちなみにこのミニ列車、どうやら鉄道模型と同様に線路から集電しているらしく、そのため線路内立ち入り禁止の警告が各所に貼られています。
ミニ運転列車コーナーの横ではてっぱくラインなるミニ列車も運行しています。
ミニ列車と同様にゆっくりな速度で走りますが、こちらは予約なしの無料で乗車可能。
混雑時はそれなりの待ち時間を要しますが、たまたますぐに乗れたので試しに乗車してみました。
まあ何というか…かなり大きなモーター音と揺れが生じ、昔の電車の乗り心地が体感できました(笑)。
あくまで子供向けの乗り物ということで。
そんな感じで一通り見るのに丸一日要しました。
最後はエントランス前のシンカリオンを見て終了…。
当日の戦利品というかおみやげ。
鉄道博物館限定のコンテナ車模型(Nゲージ規格)。
鉄道博物館のロゴが入ったコンテナは夜光仕様らしいです。
と思ったら去年も同じものを買っていたことが判明。
京都鉄道博物館限定品ですが、津山まなびの鉄道館に行った時に入手したものでした。
ということで今回はこれまで。
(実はまだ一度も行ったことが無かったので)
場所は大宮と書きましたが、最寄り駅は埼玉新都市交通(ニューシャトル)の鉄道博物館駅になります。
大宮から1駅先で元々は大成(おおなり)という駅名でしたが、鉄道博物館の開業に伴い鉄道博物館駅に改められました。
博物館の入り口前には修学旅行車として活躍した167系(クハ167-1)の先頭部分(通称:生首)が展示されていました。
同じく後ろから。
僅かながら座席も残されています。
反対側にはSLの代名詞ともいえるD51型(デゴイチ)の生首も展示。
これらは記念撮影用として展示されており博物館の外なので入場料なしで見学できます。
ということでここからは博物館内の展示物を順次紹介。
(入場料:大人1.300円)
入館してまず目に入ったのがシンカリオンの巨大模型(?)でしたがそれには目もくれずにいきなり台車から紹介。
DT46型という空気ばね式の台車で、201系通勤型電車で使われていたものです。
201系は首都圏では撤退しましたが、関西地区ではまだ現役だったりします。
目の前には柵があるもののかなり接近できるので、モーター(主電動機)も間近で見れます。
「MT60形主電動機」と記載あり。
隣に展示されていたのは旧型客車の台車ですが、いかにも重厚な造り。
TR73形3軸台車といい、重い車体を支えるため1台車につき車輪が3組あります。
近年誕生したクルージングトレイン用の車両(ななつ星・トランスイート四季島等)も相当な重量がありますが、さすがに3軸台車を採用するまでは至っていません。
ここからはメインの展示エリアとなる車両ステーションへ。
まずは戦前旧型客車の最高級車であるマイテ39形。
車内は(現在の)クルージングトレインに匹敵する豪華さ!
戦前にこれだけの豪華車両があったのには驚きです。
隣には鉄道創業期の車両が展示されていますが、これは人力車?
人が手で押して動かしていたようです。
こちらは鉄道創業期のSL(蒸気機関車)と客車。
(上:善光号 下:1号機関車と創業期の客車)
実車にプロジェクションマッピングを加えた演出も見られました。
開拓使号(客車:写真上)や"弁慶号(機関車:写真下)といった、子供の頃鉄道系の図鑑で見た車両も実物で展示されています。
こちらは9850形という大型のSL。
何と2組の走り装置を持っています。
この特殊は造りは「マレー式蒸気機関車」とのこと。
2組の走り装置とすることで、多くの動輪があるにもかかわらずカーブの通過がしやすいのが利点。
この機関車は戦前の御殿場線(当時は東海道本線だった)の山岳区間で使用されたもので、この線区は急勾配かつカーブの多い区間ということでパワーがありながら曲線もスムーズに走行できるマレー式の機関車が採用されたとのことです。
但し構造が複雑で整備・保守が困難という短所があったためかか活動期間は短く、1924年に廃車されました。
※参考:マレー式機関車(Wikipedia)
参考記事その2:蒸気機関車の先輪・動輪・従輪の配置と呼称。
下の方にマレー式の記載がありますが、9850形を含め日本で運用されたマレー式機関車は全て海外からの輸入で国産車は無し。
初の国産電機機関車となるED40形。
信越本線の横川 - 軽井沢間(碓氷峠)用の電気機関車で、アプト式対応の車両。
ED40形を後部から。
ご覧のように後部には運転台はなく、前後非対称のデザイン。
またアプト区間では架線ではなく線路横の第三軌条から集電するため、台車の脇に集電靴が設けられているのも確認できます(手前のオレンジの部分)。
昭和初期に中央本線などで活躍したED17形電機機関車。
戦後の旅客用電機機関車として活躍したEF58形。
「ゴハチ」の愛称でお召し列車やイベント用客車列車も牽引した栄光ある形式です。
「ナデ6110」という電車ですが、通勤電車の始祖的な車両?
パンタグラフが初期の路面電車と同じポール式です。
こちらはEF55形。
戦前の一時期に流行した「流線形」の車両で、曲面の全面が特徴的。
EF55形の背面。
背面にも運転台はありますがあくまでも簡易的なものなので運転方向を変える場合SLと同様に転車台を使わないといけないという欠点があり、それ故現役期間は短かったようです。
車両ステーションのちょうど中央にある転車台に乗っているがC57形135号機。
この転車台が1回転するイベントが1日に2回ほど行われますが、その様子はまた後程に。
C57形を正面から。
C57形は「貴婦人」の愛称で親しまれるスタイルの良いSLで、SLやまぐち号など現役で活躍している車両もあります。
こちらはオハ31形という戦前の普通客車。
屋根が2重構造になっていて、"普通車なながらも豪華な造りです。
戦前型国電の代表格であるクモハ40形。
戦後になっても比較的長く活躍した電車です。
クモハ40形の車内。
床や壁はまだ木製ですが、青色のシートなど後の国電を彷彿させます。
初期の気動車(ディーゼルカー)であるキハ41300形。
最初はガソリンエンジンでしたが幾つかの欠点があったため、ディーゼルエンジンに換装して長らく運用されたようです。
キハ41300形の車内。
窓の外に風景が流れる映像が映し出され、まるで列車に乗って旅をしているような演出がされていました。
キハ41300形の運転台ですが何ともレトロな感じです。
一気に近代の車両に移りましたが、こちらは貨物用電機機関車のEF66形。
現在も貨物列車牽引用として活躍していますが、スタイルの良さから末期のブルートレイン牽引用としても運用されました。
実車の前にはEF66形の動力部分(車輪とモーター)も展示。
国鉄時代の電機機関車としては最強の出力(1時間定格出力3.900kw)を誇ります。
EF66形の後ろにはコンテナ車(コキ50000形)冷凍車(レムフ10000形)が展示。
いずれも時速100kmの高速運転に対応した貨車です。
冷凍車はさすがに現在では見られません(冷凍コンテナに移行)が、コンテナ車は現在も鉄道輸送の主役として活躍しています。
国鉄時代にも色々な種類のコンテナがあったのですね。
通風コンテナやタンク型コンテナは最近では使われていませんが…。
現在ではコンテナ車の「コ」・タンク車の「タ」・ホッパー車の「ホ」ぐらいしか見られませんが、昔は様々な種類の貨車がありました。
有蓋車の「ワ」や無蓋車の「ト」・冷凍車の「レ」あたりは知っていますが、鮮魚車(ナマザカナの「ナ」)や陶器車(陶器=ポットリーの「ポ」)まではさすがに知りませんでした。
冷凍車レムフ10000形の車掌室内部ですが、ストーブはともかく灰皿も必須だったようです。
0系新幹線の先頭部分。
運転席内の見学が可能だったので、しばし並んで見ることにします。
開業当初は列車種別の表示も手書きのプレートでしたが、列車種別は「超特急」。
現在では特に超特急の呼称は使われていませんが、英訳の「SUPER EXPRESS」は電光掲示板の字幕では出てきます。
開業当初の時刻表(東京~新大阪間)も展示。
30分間隔で毎時0分にひかり、30分にこだまが発車するというもの凄くシンプルというか余裕のあるダイヤ。
ラッシュ時には3分間隔で発車するという現在の超過密ダイヤからすると隔世の感があります。
ちなみに下の注意書きを読むと「ひかり」が超特急で「こだま」は特急扱いだったのですね。
10分ほど待ってようやく見れた0系の運転台。
現在の新幹線車両の運転台よりもシンプルな造りかと。
ちなみに新幹線車両は左側がブレーキ・右側が加速(マスコン)と在来線車両と逆の配置なのが特徴です。
隣に展示されているのは東北・上越新幹線用の200系車両の先頭車。
200系は1両まるごとの展示なので車内も見学可能。
(運転室は見学不可)
東北・上越新幹線は最近乗る機会が多いですが、初代の200系車両には現役時代には乗ることはありませんでした。
200系車両の前には台車も展示。
新幹線車両の台車は滅多にお目にかかれないので、これはこれで貴重かと。
東北本線で活躍した栄光の車両たち。
写真上が急行形の455系(クモハ455形)、写真下が特急型の485系(クハ481形)。
いずれもかつての上野駅で数多く見られた車両で、クハ481形は上野~仙台間で運行された特急「ひばり」のヘッドマークを掲げています。
残念ながらこの2車両は最近車内部品の盗難があったらしく、当面の間車内見学を禁止する措置が取られていました。
こちらは上越線の特急「とき」で活躍した181系(クハ181形)。
元はこだま型と呼ばれた151系を改造して181系とし、晩年は上越線の特急「とき」・中央本線の特急「あずさ」などで活躍しました。
クハ181形の車内、こちらは車内見学可能でした。
デッキ付近にあった車販のモデルさんが引いているラックの中を覗いてみると、懐かしい品物が。
弁当やキャラメルなどの菓子類は現在の車販でも見られるものの、プラスチック容器に入ったお茶など当時ならではのものも再現されていました。
(当時は缶やペットボトル入りのお茶は無かった)
一瞬飛びますが、こちらも東北本線系統で活躍したED75形電機機関車。
国鉄時代の交流電機機関車の決定版といえる車両で、客車・貨車を問わず交流区間の多い東北地方で活躍しました。
かなり数を減らしたものの、現在も主に貨物列車用として運用されています。
特急あさかぜなどの九州方面行寝台特急(ブルートレイン)として活躍した"20系寝台客車のナハネフ22形。
登場時はそのハイグレードさから「走るホテル」と形容された名車です。
ナハネフ22形の出入り口。
この車両は寝台特急「あさかぜ」の最後部車両とおもわれますが、14号車とは…当時の人気ぶり(列車需要の高さ)が伺えます。
車内見学も可能で、当時の様子がモデル人形などを使って再現されていました。
これは乗務員が寝台をセットしているところでしょうか?
乗客が就寝中の様子も再現。
当時は走るホテルといっても、ベッドはさすがに狭そう…。
その後日本人の体形が大きくなるにつれてベッドの幅を広くし、寝台も3段から2段と余裕を持たせるように改善された新しい車両が登場しました。
もちろん当時は車内喫煙OKだったので"灰皿もありますが、さすがに寝台使用中は禁煙だったようです。
寝たばこ禁止といったところか…。
国電、というか新性能電車のパイオニアである101系電車(クモハ101形)。
首都圏では最終的に中央快速線で運用されていたことから、オレンジ色の車両で行先も高尾行きになっています。
クモハ101形の車内。
これぞまさしく国電の車内といった感じ。
クモハ101形の運転台。かなり使い込まれた感じです。
お召し仕様のC51形蒸気機関車。
この後ろに展示されているのが各時代の御料車(皇族専用車両)であることからお召し仕様となっているようです。
一部「離れ」となっている建物は新幹線専用の展示スペースとなっており、0系の先頭車がまるごと1両展示されていました。
壁の展示パネルには新幹線開業までの歴史について解説されています。
由緒正しき0系新幹線の車内。
これは子供の頃乗ったことがあるのではっきりと覚えています。
本館と南館の間には車内で飲食できる「ランチトレイン」として提供されている183系車両が。
それぞれ房総特急の「しおさい」と中央本線の特急「あずさ」のヘッドマークが掲げられています。
ちょうど昼時だったので、駅弁を買って車内で昼食を取るとします。
こうして弁当を置いて座席に座ると、不思議と旅をしている気分になります。
車両はもちろん動きませんが、奥に見える線路は実際の営業路線なので走行中の車両を遠めに見ることができます。
ちなみに手前の新幹線車両は初代Max(オール2階建て新幹線)のE1系。
ランチトレインとして提供されている車両は他にもあり、こちらは急行形の455系車両を利用した「455ランチトレイン」。
北側のキッズプラザに近い位置にあることからボックスシートやロングシートにテーブルを設けた、家族向けの仕様となっています。
これらランチトレインの他にも食堂車風のレストランや新幹線を眺めながら食事ができるラウンジなど、昼食を取るバリエーションは実に豊富だったりします。
昼食の後はオープンして間もない南館へ。
展示車両も現役のE5系の先頭車。
その奥には山形新幹線の初代車両である400系の先頭車が展示されています。
E5系の先頭車は事実上の一等車と言える「グランクラス」。
座席は航空機のファーストクラスに匹敵する豪華革張り。
新幹線の幅広の車体に3列のシートなので、シートピッチも実に余裕があります。
400系先頭車もグリーン車なので、グランクラス程でなくてもゆったりな感じです。
南館は鉄道運転に関わる仕事が学べるコーナーが中心ということで、運転シミュレーターも豊富です。
1階にある209系の運転台を利用したシミュレーターでは車掌業務など実際の鉄道運行に即した業務を体験できます。
予約制ですが当日分の予約は既に埋まっていました。
外の公園にあるすべり台も新幹線仕様。
北陸新幹線を走るE7系を模しています。
公園を1周するように線路がありますが、実は子供用の乗り物であるミニはやぶさ号が走る線路だったりします。
ただしミニはやぶさ号は冬季期間は運休しているとのことで、当日は走っていませんでした。
南館の2階に上がると1階にある新幹線車両が一望できます。
2階にはE5系新幹線などの運転シミュレーターがありますが、E5系新幹線については当日分の予約受付終了。
その他205系や211系のシミュレーターもありましたが、30分待ちだったので当日は止めました。
(いずれも別途有料)
本館渡り廊下側の窓からは先ほど昼食時に見たE1系の先頭車も一望できました。
南館3階は鉄道の歴史コーナー。
明治時代の鉄道創業期から現代までの日本鉄道史に関わる資料が公開されています。
上の写真はC53形蒸気機関車の動力部分模型。
C53形は車体中央に3個目のシリンダーを持つ3シリンダという複雑な構造を持っています。
参考:C53形の実車
梅小路蒸気機関車館(現:京都鉄道博物館)に展示
各コーナー(時代)に合わせた改札の再現模型も展示されていました。
写真上が昭和初期、写真下が1960年代の改札。
最上階の4階には屋上庭園があり、ご覧の通り新幹線が走る様子を眺めることができます。
同じく4階には新幹線を眺めながら食事ができるレストランもあります。
2階の渡り廊下を通り再び本館へ。
車両群を2階から眺めます。
転車台に乗ったC57形の全景も。
この後転車台が1回転するイベントが始まります。
再生できない場合、ダウンロードは🎥こちら
転車台回転イベントの動画。
※無音で速度を2倍にして再生しています
イベント後は鉄道ジオラマコーナーへ。
ちょうど定期のこれからデモンストレーションが始まるところでした。
(所要時間10分程度)
デモ後に巨大ジオラマの様子を見学。
新幹線の高架橋下にはシンカリオンの姿も見えました。
こうして見るとジオラマは実に巨大。
何本線路があるんだ?
奥に見える新幹線の駅は上毛高原駅(上越新幹線)がモデルか?
手前のコンクリート製の橋は北陸新幹線の神通川橋梁を模したものかもしれません。
よく見ると烏山線の烏山駅も見事に再現。
駅に止まっている車両も実際のEV-E300系(ACCUM)で、架線から充電している様子も再現されています。
ジオラマ室の隣には謎のコレクションコーナーも。
期間限定のヘッドマークなどお宝感満載ですが、中には「E電」の珍ヘッドマークも。
ちなみにE電とはJR発足時に国電に代る愛称として設定したももの全く定着せずにすぐ死語と化したものです。
本館の屋上も展望スペースとなっており、新幹線を眺められます。
興味深いのは新幹線通過予定時刻表なるものがあり、何時何分にこの形式の列車が通過するのが一目瞭然に分かるというもの。
確かに時刻表の予定通りに列車が通過していきました。
好きな人だとずっと見ていても飽きないかもしれませんね。
本館の1階北側は子供向けのキッズプラザとなっており、遊び場になっている他カラフルな塗装の103系電車の一部も展示。
軽食コーナーもあるので軽い食事もできます。
キッズプラザの北側広場はミニ運転列車コーナー。
実在車両を縮小したミニ列車がゆっくりと走っています。
車両は最新の最新のE235系(山手線)から
実車も展示されているEF55形も、これはかわいい。
運転台が片側にしかないためか、ちゃんと転車台もあります。
このミニ運転列車コーナーの凄いところですが、実際の鉄道と同様の信号システムが採用されていること。
線路の各所に信号が設けられおりますが、これは飾りではなく先に車両が接近していると先に進めないようにする、いわゆる閉塞システムが取られています。
この辺りはさすがに鉄道博物館ならではといったところ。
ちなみにこのミニ列車、どうやら鉄道模型と同様に線路から集電しているらしく、そのため線路内立ち入り禁止の警告が各所に貼られています。
ミニ運転列車コーナーの横ではてっぱくラインなるミニ列車も運行しています。
ミニ列車と同様にゆっくりな速度で走りますが、こちらは予約なしの無料で乗車可能。
混雑時はそれなりの待ち時間を要しますが、たまたますぐに乗れたので試しに乗車してみました。
まあ何というか…かなり大きなモーター音と揺れが生じ、昔の電車の乗り心地が体感できました(笑)。
あくまで子供向けの乗り物ということで。
そんな感じで一通り見るのに丸一日要しました。
最後はエントランス前のシンカリオンを見て終了…。
当日の戦利品というかおみやげ。
鉄道博物館限定のコンテナ車模型(Nゲージ規格)。
鉄道博物館のロゴが入ったコンテナは夜光仕様らしいです。
と思ったら去年も同じものを買っていたことが判明。
京都鉄道博物館限定品ですが、津山まなびの鉄道館に行った時に入手したものでした。
ということで今回はこれまで。
2019-01-14 09:50
コメント(0)
コメント 0