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私鉄博物館巡りその2~東武博物館 [鉄道・鉄道旅行]

前回の「電車とバスの博物館」に続いて私鉄博物館巡りの第二弾は東武鉄道の博物館である「東武博物館」です。
愛称は特にない模様(東博=トーハクは東京国立博物館の愛称だし…)。

東武博物館 入口

東武博物館の最寄り駅は東武スカイツリーラインの東向島駅。

東向島駅

駅ホームの真下が博物館の建物になっています。
(この辺は電車とバスの博物館と同じですね)

各駅停車に乗り換える必要がある

東向島駅は浅草駅から3駅目(東京メトロ半蔵門線から直通の場合は曳舟の次駅)ですが、急行などは通過するので各駅停車に乗り換える必要があります。

この前も見ました

新型車両も通過

東向島駅に着いてしばし佇むと、急行列車が次々と通過。
たまたまですが通過していったのはこの前も見た東急の車両。
古参の8500系に続き、新型車両の2020系も…。

それはともかく、博物館内に入ってみます。
(入館料:大人200円)

※参考:東武博物館ホームページ

創業期の蒸気機関車

館内に入ってまず目に入るのが、東武創業期の蒸気機関車であるB1形(5号機)。

後ろから撮影

この車両については毎日4回で警笛を鳴らすと共に機関車の動輪を動かす「SLショー」が見れます。
当日は入館した時刻が11時だったので1回目のショーを見ることができました。

SLといえば東武鉄道では昨年からSL列車「SL大樹」の運行が始まりましたが、大手私鉄では珍しい(恐らく初めて)SL列車の運行を始めたのは元々蒸気機関車を運用していたという経緯があったからなのですね。
ちなみにSL大樹で運用されている車両(C11形及び14系客車)は東武博物館所有の動態保存車両という扱いだそうです。

デハ1形5号

デハ5と表記

SLの隣奥に展示されているのがデハ1形5号電車。
1924(大正13)年製の東武初の木製電車ということで、二重屋根や無骨な造りの台車周りなどこの時期の車両の特徴を持っています。
パンタグラフが2基というのもポイントかも。

デハ5の車内

デハ5の車内は木造車両ならではの温かみのある感じです。

ドイツの風景を再現した鉄道ジオラマ

反対側から撮影

SLとデハ5の反対側にはドイツの風景を再現した鉄道ジオラマ(Nゲージ)が展示。
自動走行でコントローラー等で操作はできない仕様。
ちなみに走行している車両はドイツのものとは限らない、というか東武や旧国鉄の車両も含まれていました。

スペーシアの個室も展示

特急スペーシア(100系)のコンパートメント(個室)の実物も展示。
スペーシアといえば現状東武のフラッグシップトレインなだけに、室内は豪華です。

軌道自転車

ここから先は中庭も見えるメインフロア。
実物大の線路の上にあるのは人力(足漕ぎ)で動く軌道自転車。
ここで展示されているのは保線作業員移動用のものですが、廃線となったローカル線の線路の一部を軌道自転車で走行するといった観光イベントもあったと思います。

トキ1形貨車とデハ103号の台車

軌道自転車の隣に展示されているのはトキ1形貨車とデハ103号の台車。
トキ1形は無蓋車と呼ばれるタイプの貨車で、東武鉄道に在籍した貨車中最多の222両を有していた大型の2軸ボギー車です。
※トは無蓋車(トレーラー)の意味で、キは荷重トン数25t以上を意味する
展示車両は廃車後約3分の1にカットされたものの復元ではなく実物です。
(本来の車両は車体長13.8mある)

手前にある台車は下野電気鉄道(現:東武鉄道鬼怒川線)の電車デハ103号の台車ですが、最終的に銚子鉄道の車両(デハ101)の台車として1999(平成11)年3月まで使用されていたということで貴重な台車として展示されています。

8000系の台車とパンタグラフ

東武の代表的な通勤型車両である8000系の台車とパンタグラフ。
東武8000系は民鉄(旧国鉄・JRを除く私鉄)の車両としては最多の712両が製造され、現在でもローカル線区などで運用されています。
パンタグラフは下枠交差型(通称クロスパンタ)と呼ばれるタイプで首都圏では東武鉄道のみで見られたものです。
(関西地区のJR・私鉄線では多く見られる)
尤も近年ではJR・私鉄共シングルアームタイプのパンタが主流になっていますが…。

車輪とパンタグラフが動かせるコーナーも

その横には「電車の走るしくみ」ということで実車の運転台を操作して目の前の車輪とパンタグラフが動かせるコーナーも。
電車とバスの博物館でも同様のコーナーがありましたが、こちらは実車の運転室(カットモデル)はありません。

2Fから撮影

2Fの休憩スペースから撮影。
台車の手前(写真右下)にある運転台(マスコン)で操作してパンタの上げ下げと車輪の動作が行えます。
(マスコンは実車のもの)

実車のマスコンで模型を運転するコーナーも

反対側には実車のマスコンで模型を運転するコーナーも。
上の写真を撮った時には調整中で運転できませんでしたが、後で修理が終わり運転できました。
ジオラマの線路の各所に信号があり、信号表示に従って運転するという内容。
運転する車両にはカメラが搭載されており、マスコン上の画面に映像が表示されます。
(電車でGO!のような感覚)

ED5015号電気機関車

再び実車展示に戻り、奥にあるのがED5015号電気機関車。
形式はED5010形で、東武鉄道に在籍した電気機関車43両の中で14両と最多の形式。
貨物列車の牽引用として使用され、展示されているED5015号は東上線で活躍しました。

キャブオーバーバス

ED5015号の隣に展示されているのがキャブオーバーバス。
キャブオーバーバスとは当時標準であったボンネットバスの車体を前の方まで伸ばし、運転席をエンジンの横に配置したもの。

運転席の横にエンジンルームがある

上の写真の通り、運転席の横にエンジンルームがある構造。
(丸いカバーの中にエンジンがある)
エンジンルームの左側も客席になっており(かなり無理やり感がありますが)、その分客室面積も拡がり輸送力の増大につながりました。

明智平ロープウェイのゴンドラ

バスの横に展示されているのが明智平ロープウェイのゴンドラ。
日光の明智平と海抜1,373mにある展望台を約3分で結ぶ明智平ロープウェイの初代のゴンドラ。
定員は16人(結構多い…)。

5700系5701号電車

中庭に入り、まず目に入るのがこの5700系5701号電車。
1951 (昭和26)年に戦後最初に新造した日光・鬼怒川線特急用車両で、前面の飾り金の形から“ネコひげ”の愛称で親し まれました。

5701号の車内

5701号の車内。
2人掛けのクロスシートが整然と並び(シートは簡易リクライニング構造の模様)、満席時に中央通路の上に設置できる補助いすも展示されていました。

非常にシンプルな運転席

5701号の運転席は非常にシンプルな構造。
前面は非貫通構造の2枚窓(いわゆる湘南電車窓)なので視界も良好です。

館内に展示されている5703号電車の前面部

ちちなみに館内には同系列の5703号電車の前面部が展示。
5701号の前面は非貫通構造ですが、こちらは貫通式の半流線形。

ED101形101号電気機関車

5701号の奥に展示されているのがED101形101号電気機関車。
1928(昭和3)年に英国で製造された、東武鉄道最初の電気機関車です。
晩年は近江鉄道に譲渡され、1988 (昭和63)年3月まで活躍しました。

非対称の前面など独特の外観。
東武時代は貨物列車のみならず旅客列車での運用もあったようです。

かつての東武フラッグシップトレイン

かつての東武フラッグシップトレインである1720系デラックスロマンスカー(DRC)。
当時の国鉄特急車両を強く意識したボンネットタイプの前面で、「けごん」のヘッドマークも良く似合います。
(このヘッドマークも国鉄特急のものと似ている)
両端のヘッドライトやボンネット上のエンブレム(?)など全盛期の東武特急の印象を決定的なものとしたといって良い極めて個性的な外観。
車内設備もサロンルームやビュッフェがあり、日本初のマジックドア(自動ドア)の採用など当時最先端の設備でした。

博物館に展示されている車両(1721号)は先頭部分のみで車両後部がカットされた状態。
博物館の建物外に展示されているため外観は博物館に入らなくても見学可能ですが、車内の見学は博物館内のみです。

DRCの車内

DRCの車内。
車内は普通車と思われますが、座席はリクライニングシート。
リクライニングシートは当時の国鉄特急では一等車(現在のグリーン車)でのみの採用で普通車は簡易リクライニングないしは転換クロスシートだったので、この点でも国鉄を1歩リードしていたということになります。

車内入口手前に展示されているヘッドマークと当時販売されていたおもちゃ等が展示


車内入口手前には使用されていたヘッドマークと当時販売されていたおもちゃ等が展示されていました。
ブリキ製のおもちゃは今見るとかなり年代物な感じです。
ちなみに1720系DRCは1960年(昭和35年)から1991年(平成3年)まで運用され、約30年間の長きにわたって活躍しました。
あとヘッドマークについてでるが、「きぬ」は現行でもありますが「さち」はどの区間を走っていた特急列車なのでしょうか?

日光軌道203号

こちらも1720系DRCと同じく館外に展示されている日光軌道203号(200型)。
かつて日光~馬返間の日光軌道線で運用されていた路面電車です。

中央の台車は連接式

200型は2両編成で運用されていましたが、中央の台車は連接式なのが特徴。

203号の車内

203号の車内。
手前の円形状の床の下に連接台車があります。
203号(200形)は1968(昭和43)年に日光軌道線が廃止されるまで運用されていましたが、写真でも確認できる通り車内内装の一部が木製なのも特徴的です。

駅の改札口が再現されている

2F(中2階な感じ)は主に食事・休憩スペースになっていますが、その一角に駅の改札口が再現されているコーナーもあります。
電車とバスの博物館でも旧高津駅の改札口が再現されていましたが、こちらは近代的な造り。
駅長室の中は鉄道員の制服などの展示スペースになっています。

ウオッチングプロムナードからの眺め

2Fの奥にある階段を上がると窓から走行中の車両を線路の高さで見れる「ウオッチングプロムナード」なる施設が。

東向島駅下り線ホームから見たウオッチングプロムナードの窓

上の写真は東向島駅下り線ホームから見たウオッチングプロムナードの窓ですが、ご覧の通り上り線ホームのちょうど真下がウオッチングプロムナードになっています。

窓の目の前が線路なので駅に停車する列車(各駅停車)ならまだしも、駅を通過する特急・急行列車の場合はかなり怖いことになります。

ちなみに先ほどの改札口の展示コーナーのそばに線路上に設けられたカメラを通じて走行中車両のライブ映像が見れるコーナーもあります。
(ライブ映像は2か所ありますが、当日はうち1か所が映像が乱れている感じでした)

東武博物館メインの鉄道ジオラマ

1Fの一番奥には東武博物館メインの鉄道ジオラマが展示。
電車とバスの博物館と同様にHOゲージサイズの巨大ジオラマで、東武線沿線の建物が点在しています。
(上の写真では東武浅草駅や東京スカイツリーなどが確認できます)

隅田川の風景も再現

隅田川の風景も再現。
レイアウトの構成上橋の数が多いですが、浅草駅から伸びる写真中央のグレーの橋が実在する東武線の鉄橋です。
右側に少ししか映っていませんが東京スカイツリーも。

折りしもちょうど13時台のパノラマショー(走行イベント)を見ることができました。

電車シミュレーションコーナーは相変わらずの人気

パノラマショーを見た後は電車シミュレーションコーナーに行きましたが、他の鉄道系博物館と同様相変わらずの人気。
ただ今回はそれほど混雑はしていなかったので一通り体験することができました。

上の写真では左側が50050系・右側が8000系。
8000系がツーハンドルマスコンなのに対して50050系はワンハンドルマスコンなので操作感覚がやや異なります。
電車でGO!と同じく到着時刻を守りつつ停止位置にいかに近づけて停車させることができるかかポイントとなりますが、正直所見ではかなり厳しいです。
もの凄い手練れの方もいてかなり正確に停車していましたが、きっと何度も足を運んでいるのかと思います…。

10030系のシミュレーターは実車カットモデルの中に設けられている

東武博物館の電車シミュレーターは合わせて3台あり、上の写真の10030系シミュレーターのみ実車カットモデルの中に設けられています。
3台共実車映像のシミュレーター(CG画像ではない)。
運転できる区間は伊勢崎・日光線(スカイツリーライン)の東武動物公園~浅草間と東上線の池袋~川越市間(だったか)。
1回で2ないし3駅を運転して次の人に交代する感じです。

実際シミュレーターをやってみて「どこかで見たような感じ」を受けたのですが、電車でD(Rising Stage)で収録されている区間だったからかも。

同人ゲームサークル 地主一派 ホームページ
(当ブログで度々取り上げている「電車でD」の製作元)

アルナ工機の製造プレートの下には音楽館のプレートも

シミュレーター車内の妻面上部にはアルナ工機の製造プレートの下に加えて音楽館のプレートも。
東武博物館の電車シミュレーターも向谷実氏の会社が手掛けたものということですね。

これはひどい…

車内でもう1つ目に付いたプレートがこちら。
「幌の中に煙草の吸殻を捨てないで下さい」とのことですが、実際に車内で喫煙して吸殻が捨てられた事例があったということですね。
確かにこれはひどい…

この他バスのシミュレーターも1台ありましたが、こちらは体験しませんでした。

国道4号線の反対側にもSLが1台展示

館内を一通り周った後館外展示車両を見学。
(この時に1720系DRCと日光軌道203号の外観を撮影)
更に国道4号線を渡って反対側にもSLが1台展示されています。
館内にあるB1形と同形式でこちらは6号機。

反対側から撮影

反対側から撮影。
こちらも館外展示車両なので見学は無料です。
(柵で囲まれているので車内には入れない)

203号とDRCをまとめて撮影

最後に203号とDRCをまとめて撮影。
これで博物館の見学は終了とします。

上り線を200系特急が通過

東向島駅に戻るとちょうど上り線を200系特急が通過。

下り線を50050系が通過

続いて下り線を50050系が通過していきました。
折りしも両方とも電車でDで対戦する車両でした…。

背後にはスカイツリーも見えています。

曳舟で下車して…

隣駅の曳舟で下車して…

亀戸線に乗り換え

亀戸線に乗り換えます。

亀戸線の車両は2両編成と短く、車両はかつて東武線内で大所帯であった8000系の末裔。
(前面が更新されたタイプ)

複雑な線路形態

曳舟駅を出発した直後ですが、実に複雑な線路形態。
一番左側が現在走行している亀戸線の線路。
(単線ですがこの後複線に変わる)
右側の4線が本線となるスカイツリーラインの線路ですが、外側の2線が浅草方面・内側の2線がトンネルに入り押上駅→半蔵門線に通じる線路となります。
更にはこの奥で京成線(押上線)の線路とも交差するという凄い密集ぶりです。
(押上線の線路は左奥にちらっと見える)

都会のローカル線な雰囲気

亀戸線は始発の曳舟駅周辺のみ単線でそれ以外は複線ですが、車両が2両編成でホームも短いので都会のローカル線的な雰囲気です。

総武線の車両が見える

終点の亀戸駅の手前ですが、ちょうど奥に総武線の車両が見えました。

電車はすぐに折り返して駅を出発

終点の亀戸駅に着いた後、電車はすぐに折り返して駅を出発していきました。

最後はAKB

総武線に乗り換え、最後は秋葉原に到達。
駅の英字略称はもちろんAKB。

ドラクエに登場するゴーレムの巨大フィギュアが展示

最後は鉄道と全く関係ない写真ですが、某有名展示スペースでイベント準備中の様子を撮影。
ドラクエ関連のイベントらしく、ゲーム内に登場するゴーレムの巨大フィギュアが展示されていました。
(奥に見えるのはスライムタワーか)

ということで本日の行程終了。
東武博物館は私鉄博物館3館の中で1番ボリュームがあったのではないかと思います。
(地下鉄博物館は次回見学予定ですが…)

※その3に続く

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