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私鉄博物館巡りその3~地下鉄博物館 [鉄道・鉄道旅行]

前回から間隔が空いてしまいましたが、私鉄博物館巡りの第三弾(ラスト)ということで地下鉄博物館に行ってみました。

地下鉄博物館 入口

場所は東京メトロ東西線葛西駅の高架下。

最寄りは東京メトロ東西線葛西駅

東京メトロ(メトロ文化財団)運営なので、都営地下鉄は含まれていません。
愛称は「ちかはく」で、入館料は大人210円。
※地下鉄博物館 ホームページ

東京メトロ線が対象

入口を入って左手に進むと、東京地下鉄道(現在の銀座線)の1000形電車と丸の内線の300形電車(301号車)の実車が展示。

東京地下鉄道1000形電車

丸の内線300形電車

地下鉄博物館での実車展示はこの2両のみ(カットモデルを除く)。
また東京メトロは地下鉄線のみ運行のため、バスの展示はありません。

まずは丸の内線の電車を見学してみます。

かつての丸の内線を象徴するデザイン

かつての丸の内線といえば、赤色の車体にサインウェーブを交えた白帯のこのデザイン。
現行車両(02系)の一部の編成にこのデザインが反映され、最新の2000系も初代丸の内線を意識したデザインになっています。

ピンク色の壁が印象的な車内

丸の内線の車内。
緑色の床とピンク色の壁が印象的。
ドア近くの窓の横にある予備灯も見逃せません。

※かつての銀座線・丸の内線では駅近くで第三軌条(架線に相当)が一瞬途切れるため、その間車内の照明が消えてこの予備灯のみが点灯する

運転台は非常にシンプル

運転台は非常にシンプル。

台車の第三軌条集電部分

続いて銀座線の電車ですが、いきなり台車部分から。
補足説明で少し触れましたが、第三軌条からの集電部分です。

横のレールから集電する

第三軌条方式とは架線の代わりに線路の横にサードレールと呼ばれるレールを設置し、そこから電気を取り込む方式。
この方式だと天井に架線を設置する必要がなくトンネルの高さを低くすることができることから、国内では地下鉄の多くがこの方式を採用しています。
ただ都心の地下鉄に関してはJR・私鉄線との相互乗り入れを行っている路線が大半なことから、第三軌条方式の路線は銀座線・丸の内線の2路線のみとなっています。

台車に付けられている集電靴

台車に付けられている集電靴(コレクターシュー)。
コレクターシューは銅製(銅は通電性が良い)で、台車枠の外枠には木の板が張られています。
(感電防止の対策と思われる)

当時の自動列車停止装置

車両の前には「打子式自動列車停止装置」なる設備も。
自動列車停止装置=今では「ATS」と呼ばれていますが、解説を読むと先の信号が赤になるとこの設備の横から打子(突起)が出て、それに車両側の突起が触れると線路中央にある停止機に圧縮空気が送り込まれて電車を非常停止させるという仕組みとのことです。
この装置は銀座線の開業当初(1927年)から平成5年(1993年)まで、丸の内線では開業当初(1954年)から平成10年(1998年)まで使われていました。

黄色の車体に茶色の屋根が印象的

裏の通路を周ってホーム側へ。
初期の銀座線は黄色の車体に茶色の屋根が印象的。
このデザインも現行の銀座線車両(1000系)に反映されています。

かつての上野駅を再現したホーム

ホームはかつての上野駅を再現したものです。

運転室には…

運転室にはマネキンの運転士さんが…。

当時の乗客も再現

当時の乗客も再現。
銀座線の開業が昭和2年(1927年)なので昭和初期の頃といった感じですね。

ターンスタイルの自動改札機

これも当時のものでしょうか、ターンスタイルの自動改札機。
右側の青い箱にコインを一枚投入すると中央の十字部分が回転し、1人分(1/4回転)通り過ぎると止まり、次の人がコインを入れるとまた回転するという仕組み。
展示物も実際にコイン(小銭)を入れて動作させることができます。
(ちなみに投入したコインはすぐに戻ってきます)

各時代のシンボルマークについての解説

展示車両の裏側廊下には各時代のシンボルマークについての解説が。
左パネルの上が前身の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)、左パネルの下が現在の東京地下鉄(東京メトロ)。
右パネルは開業当初の東京地下鉄道及び東京高速鉄道です。
個人的には営団の「S」マークが一番なじみ深い。

この後は地下鉄の線路設備・工事機器などの展示へ。

副都心線新宿三丁目駅の構造模型

まずは副都心線新宿三丁目駅の構造模型から。
左右を副都心線の線路が走り、左手前が副都心線新宿三丁目駅のホーム。
中央の下で交差する2本のトンネルは都営新宿線。
写真ではわかりずらいですが、都営新宿線・副都心線のすぐ上を丸の内線の線路が交差しています。

新宿三丁目付近では副都心線が一番後にできた路線ですが、既に開業している丸の内線と都営新宿線の間をぬって副都心線の線路ができたという、何とも驚きな話です。

複雑な立体交差の際たるもの

複雑な立体交差の際たるものといえばこちら。
御茶ノ水駅周辺の地上と地下の模型ですが、JR中央線(当時は国鉄だったか)の下を丸の内線の線路が通っています。
御茶ノ水駅近辺は谷間となっており、地下を走っている丸の内線も一部地上に出るという地点です。

ボタンを押すと地面が段階的にせりあがる!

実はこの模型、ボタンを押すと地面が段階的にせりあがる!という仕組み。
これを見るとJR線の線路すれすれに丸の内線のトンネルがあり、一番奥の断面を見ると地下深くに千代田線のシールドトンネルがあることが分かります。
千代田線の真上は高層ビルで、ビルの基礎杭(と思われる)の間をぬってトンネルが掘られている構造も確認できます。
(あるいはその逆で、トンネルを巧みに避けてビルの基礎杭が立てられている)

立体模型を別の角度から撮影

立体模型を別の角度から撮影。
奥がJR御茶ノ水駅で、手前が秋葉原方面。
(ちょうど立体模型の奥端が聖橋と思われる)

現地付近の写真

現地付近の写真(2014年1月に撮影)。
聖橋上からの撮影で、写真奥が秋葉原方面。

シールド工法の建設機械の模型

シールド工法の建設機械の模型。
左端にトンネルの掘削機械があり、右側は掘削した泥などの処理施設と思われます。

軌道モーターカー

こちらは軌道モーターカー。
終電後の保守作業員の移動用・機材の運搬・信号設備の測定などに利用されるもの。
東武博物館では軌道自転車がありましたが、こちらはエンジン駆動の車両の模様。

シールドトンネルの実寸模型も展示

その横にはシールドトンネルの実寸模型が展示。
短いながらも線路・架線・信号等の設備も再現されています。
ちなみに黄色と青の枠は車両限界の表示。
黄色が小型車(銀座・丸の内線等)、青が一般的な20m級車のものと思われます。

駅100mの表示も再現

地下鉄のトンネル内で注意深く見るとある「駅100m」の表示も再現。
子供の頃、この表示を探すのが好きだった気がする…。

カットモデルの運転席からモーターを動かすコーナーも有り

その奥には実車カットモデルの運転席からモーターを動かすコーナーも有り。
車両は東京高速鉄道100形電車。
※東京高速鉄道は渋谷~新橋間で開業した地下鉄で、現在は銀座線の一部

吊り掛け駆動特有の重々しいモーター音が聴ける

仕組み的には電車とバスの博物館にあった3450形と同様で、運転席のマスコンでノッチを入れると手前の台車のモーターが動き、車輪が回転。
止める場合はマスコンのノッチを戻し、ブレーキをかけるという手順です。
客室のドアの開閉もできる点も同じ。
モーターも3450形と同様吊り掛け駆動なので、特有の重々しいモーター音が聴けます。

吊り掛け駆動についての解説

背面のパネルには吊り掛け駆動についての解説が。
モーターと歯車を車軸と台車枠の両方で(吊り掛けて)支える方式のことを言うのですね。
今更知った…

銀座線01系のカットモデル

こちらは近年まで銀座線で活躍していた01系のカットモデル(先頭部分)。
運転室内には入れますが、マスコンを操作して何かを動かすといった仕組みは無い模様。
ちなみに右側に展示されているのは営団5000・6000・7000系の大型模型。

ホーム(ドア)の実寸模型も展示

隣にはホーム(ドア)の実寸模型も展示。
通常は入れない、線路側からの視点で見ることができます。
(ホームと線路との高低差が実感できる)
ホーム下の窪みの空間にはマジックハンドなどの器具が展示されています。

メトロパノラマ

当館のメイン展示の1つとなる「メトロパノラマ」と称した巨大ジオラマ。
ちょうどでも走行の開始時刻となったので、見てみます。
ガラス越しから直接見る他に、窓の上に設置されているディスプレイでジオラマ内の特定箇所の視点からの走行風景も見ることができます。

複雑なアンダーグラウンド空間を再現

地下鉄のジオラマってどんなものか?と来る前に疑問に思っていましたが、このように地面の下を走行する複雑なアンダーグラウンド空間を見事に再現しています!
ジオラマ内では銀座線・丸の内線・日比谷線・東西線・千代田線・有楽町線・半蔵門線・南北線・副都心線の東京メトロ全9路線分のトラックがあるので、実に賑やか。

地上の建造物では東京ドームなどが確認できますね。

大手町駅を再現

この辺りでは大手町駅を再現。
大手町は丸の内線・東西線・千代田線・半蔵門線の駅がある東京メトロ有数の拠点駅。
(この他都営三田線の駅もありますが、都営線はジオラマ内には含まれていません)

丸の内線の地上区間

丸の内線の地上区間も。
国会議事堂に近い(左端にちらっと見える)ので四谷近辺の地上区間なのでしょうか?

永田町駅

国会議事堂=永田町ということで、永田町駅も再現。
いずれの路線のホーム(有楽町線・半蔵門線・南北線)が深い位置にあるので、シールドトンネルの構造も一部再現されています。
駅の上には東京タワーも。

赤坂見附駅

先の永田町駅の上には赤坂見附駅も。
(実際に、永田町駅と赤坂見附駅は地下通路でつながっています)
銀座線・丸の内線の同一方向の列車で乗り換えができる2層構造のホームもちゃんと再現されています(見事!)。

一応高架駅もある

下にちらっと見えますが、一応高架駅もあります。

デモ走行時の操作パネル

デモ走行時の操作パネル。
11系統分あるのは銀座線と丸の内線がそれぞれ外回り・内回りとで分かれている構造になっているからと思われます。
(赤坂見附駅付近のレイアウトを参照)

小型ジオラマ

メトロパノラマの他にも、自身で操作できる小型ジオラマも。
レイアウトは千代田線の綾瀬支線を再現?

Nゲージ規格のジオラマも

Nゲージ規格のジオラマもあり。
既存製品(TomixもしくはKATO製)のストラクチャー使用で地下鉄とあまり関連性なさげなので、イベント企画用?
ちなみに当日は稼働していませんでした。

各種車両模型の展示

メトロパノラマの周りには各種車両模型の展示も。
銀座線・丸の内線車両の大型模型の下はHOゲージ規格か?
各車10両フル編成で揃っている感じ。

ここでも人気ので電車シミュレーションコーナー

そしてここでも人気ので電車シミュレーションコーナー。
当館では銀座線・東西線・千代田線・有楽町線の4路線の電車シミュレーションが体験できます。
(いずれも無料)
手前の4台のディスプレイは地下鉄クイズの操作パネル。

ここでの特徴は地下鉄ということで大半がトンネル内の映像なのですが、地下鉄内のかぶりつきがなかなか困難(運転席後ろの窓が反射防止のため閉められるため)なので、貴重な「かぶりつき映像」が見れる点でシミュレーターを触るよりも後ろから映像を眺めているのが面白かったりします。

千代田線のみ実車カットカットモデルを使用した特別仕様

そして千代田線のみ実車カットカットモデルを使用した特別仕様。
シミュレーターの操作に合わせて車両が揺れるというギミックもあり。
これも無料で体験できるので、かなりお得かもしれません。

ちなみにいずれのシミュレーターについても1人で1駅区間を運転して次の人に交代するという方式をとっていました。
なんにしても鉄道博物館系のシミュレーターの魅力は「実車のマスコンを操作して動かせる」という点に尽きるのではないでしょうか?

この他特別展のコーナーと図書室を周り、一通り見たので博物館の見学終了。

スタンプラリー達成の記念品

地下鉄博物館を最後に3館全て周ったのでスタンプラリー達成。
入口で記念品(写真右側のクリアファイル)をゲットしました。

この後は昼食を取って残りの時間プチ乗り鉄を敢行しましたが、記事が長くなりそうなので別途追記記事として記載します。
(ということで「地下鉄博物館見学に伴うプチ乗り鉄」に続く)
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